2018-07-30

日記20180730

学生時代の古い制服をかき集めて広大な空き地に来た。
夜が明けたばかりで適温である。空き地に人は誰も居ない。

制服に火をつける。火は瞬く間に高く燃え上がる。
私は傍らで体育座りしてリコーダーを吹きながらそれを眺めていた。

2018-07-28

日記20180728

仕事を終えて帰路につく。
電車を降りて駅のエスカレーターを降りるとそのまま自宅の部屋に着く。家が駅に直接繋がっていると、歩かずに帰宅出来て何かと便利であるが、登る側のエスカレーターが無くて、部屋から出られないのが唯一の難点であった。

部屋ではおぎやはぎの二人と有吉氏がしきりにエレファントカシマシの話をしている。私はその三人を尻目にビールを飲む。

部屋に見たことのない種類の虫がいる。虫は大人しくて可愛い。これは新種の虫ではあるまいか。
外に逃してあげたいが、部屋から出られないのでそのままにしておく。

スマートフォンでインターネットのニュースを流し見していると「都内で新種の虫発見」という見出しの記事がある。読んでみると案の定、先刻の虫のことだった。「東京都杉並区在住の雌鳥さんの家に、新種の虫が発見されました。」
やはり自分の目に狂いは無かった、と内心誇らしい気持ちでいた。三人はイースタンユースの話をしていた。

2018-07-23

日記20180723

友達数人で雨の中をそれぞれ傘をさして歩く。
そういえばこの3人は、私が密かに飛翔能力を有していて、傘があれば空を飛ぶことが出来る、ということを知らないのではないか、突然それを披露したら皆さぞかしびっくりするだろう、と思い立ち、これ見よがしにふわっと宙に浮いてみせた。
しかし私の期待とは裏腹に全然誰もびっくりしてくれない、どころか何の反応も示してくれなくてとても悲しかった。

2018-07-05

日記20180705

ディスクユニオンでアルバイトをしている。

30分程度の休憩の時間が来た。
店長の山崎さんに「休憩いただきます」と言うと、「はいいってらっしゃ~い」と元気に返される。いつも通り威勢が良い素敵な店長である。

持参した漫画をバックルームで読む。コミカルな子ども向けテニス漫画である。
ちょうどコロコロコミックあたりで連載されてそうな絵柄と雰囲気で、ギャグ要素を交えながら、主人公がライバルにテニスで次々勝利していく、といったような内容である。童心に帰って、懐かしい気持ちで読み進めていく。

ところが、半分ほど読んだところで突然、対戦相手にラケットで殴打されて主人公の顔がぐちゃぐちゃになる、という、漫画の内容根幹を揺るがす大事件が発生してしまった。

それから先は絵柄が急に劇画タッチになり、ギャグ要素も払拭され、その対戦相手に陰湿な復讐を企てる、という、土台子ども向けとは思えない暗澹たる内容となってしまった。私の束の間の童心も終了してしまった。

また、残りのページ左半分が全てカラーになっており、同じ構図の主人公の絵が続いている。なるほどこれはパラパラ漫画のような仕組みで、はじめは普通の顔をしていた主人公が、ページをめくる毎に徐々に顔がぐちゃぐちゃになっていき、最終的に完全にぐちゃぐちゃになるまでの過程が、やたらリアルに描かれていた。
最終的に何らかの復讐が成功して物語が閉じられた。

変な漫画だなあ、と思いつつ、山崎さんに「休憩戻ります」と伝えると、山崎さんの顔がぐちゃぐちゃになっていた。

2018-06-15

日記20180615

いつもの道を歩いていると、つい数日前には無かった、大きな寺院が建立されている。
ぱっと見、立派な寺院に見えるが、正面に掛けられた看板には「寺院」とだけ書かれていて胡散臭いことこの上ない。宗派も何も分からない。

なるほど此処は寺院を騙った紛い物の建物で、秘密裏に何らかの悪事が行われているのだな、と合点し、如何なる悪事が行われているか暴いてやる、とひとり意気込んで突撃してみることにした。

脇の入り口から、ごめんください、と入ると、寺院にはてんで似つかわしくない、会議室のような味気ない空き部屋、そこにリクルートスーツの女性が一人ぽつねんと居る。
寺院にこんな空間がある訳ない。疑惑の念は更に膨らむ。

女性に、ここは本当に寺院なのでしょうか、本堂に案内してください、と詰め寄る。
すると、部屋の脇にある金属製の回転扉を指差し、こちらにお入りなさい、と言う。

扉に近づいてよく見ると、鋭利な歯車のようなものが幾つも付いている。扉は常時もの凄い勢いで回転している。
これは回転扉ではなくて粉砕機ではないか。
試しに、直前にディスクユニオンで購入していたレコードを扉に当てると、バリバリとえらい音を立てて木っ端微塵に粉砕されながら吸い込まれていった。
回転扉は、明確に粉砕機であった。

こんなものにお入りなさいとはどういうことだ、と怒気を強めて非難するも、女性はまったく動じず、いいからお入りなさい、と言って私の体をぐいぐい押して粉砕機に接触させようとしてくる。
どうやら、なまじ素人が介入してはいけない場所に来てしまったようだ。私は消されるのだ、と悟った。君子危うきに近寄らず、なんてなことを今更思っても遅い。

こちらも必死に抵抗するが、女性の力がやたら強く、粉砕機に接触するのは時間の問題と思われた。
死を覚悟した刹那、そういえば自分には超能力が使えることを思い出し、間一髪のところで自宅自室に瞬間移動することが出来た。

この不正をどうにかして世間に告発してやる、と復讐の情に燃えるも、これ以上下手に関わるのも危険なので今後の行動がなかなか迷いどころではある。